内装工事の耐用年数は?国税庁の基準を解説

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店舗やオフィスの内装工事にかかる高額な費用は、その年に一度で全額を経費として計上することはできません。国税庁が定める「耐用年数」に応じて、複数年に分割して減価償却処理を行うのが基本ルールです。
耐用年数は自分で自由に決めることはできず、建物の構造や使用する設備によって細かく基準が決められています。
この記事では、内装工事の耐用年数と減価償却の関係や、国税庁の基準、費用処理における注意点などを分かりやすく解説します。
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目次
内装工事の耐用年数とは?自由に決められる?
店舗の内装工事にかかった費用は、耐用年数によって分割して経費に計上します。これがいわゆる減価償却です。
耐用年数に関して押さえておくべき点は、以下の3つです。
- 耐用年数は自分で決められない
- 建物の構造や用途によって年数が変わる
- 使用する設備や器具によっても年数が違う
ここでは、これらの観点から耐用年数の基本的な考え方について解説します。
1. 耐用年数は自分で決められない
大前提として、耐用年数は自分で自由に決めることができません。もし自由に決められると、毎年計上する経費を意図的に操作できてしまい、税務上の問題が生じるためです。
耐用年数は、建物の構造や利用目的などによって国税庁が細かく定めています。基本的には、この決められた耐用年数をそのまま使って費用を計上する義務があります。
たとえば、2,000万円で取得した設備の耐用年数が20年だった場合、2,000万円を20年で分割し、毎年100万円ずつ経費として計上していくのが決まりです。
2. 建物の構造や用途によって年数が変わる
耐用年数は、該当する建物の構造や用途によって異なります。たとえば木造の建物の場合は、用途によって耐用年数が以下のように変化します。[注1]
- 飲食店用・店舗用・住宅用として使う場合:22年
- 病院用・車庫用として使う場合:17年
また、鉄筋コンクリート造の飲食店であれば、耐用年数は34年もしくは41年となります。建物をどのような目的で使うのか、どのような構造になっているのかは、耐用年数を左右する重要な要素です。
3. 使用する設備や器具によっても年数が違う
建物だけでなく、その中で使用する設備や器具によっても、耐用年数は違ってきます。
店舗で必要になるケースが多い接客用の椅子は耐用年数が15年ですが、接客用ではないものは5~8年など、10年に満たないことがほとんどです。同じようなものでも、用途によって耐用年数が変わることがあります。
費用の計上や見積もりを行うためにも、まずは耐用年数が何年なのかを調べましょう。
耐用年数と減価償却の関係は?
店舗の内装工事にかかる費用の耐用年数は、減価償却にかかる期間と深く関わっています。しっかり理解していないと、毎年の費用が分からなくなったり、計上したことで赤字になったりすることもあります。
ここでは、耐用年数と減価償却の基本的な仕組みや、注意すべきポイントを見ていきましょう。
耐用年数と減価償却の基本的な仕組み
寿命というと壊れるまでの期間というイメージを抱くかもしれませんが、耐用年数は物理的な寿命ではなく、経済的価値の寿命といった方が正しいでしょう。たとえば、耐用年数が10年なら、10年間は経済的価値が維持されます。
そして減価償却とは、内装工事や設備にかかった費用を1年で全額計上するのではなく、複数年に分割して計上する処理方法のことです。
何年で分割するかが重要なのですが、分割年数には耐用年数がそのまま適用されます。つまり、耐用年数が10年なら、減価償却期間も10年です。
減価償却は赤字リスクに注意して計上する
高額になる内装工事や設備の費用を、耐用年数で分割して計上できるのは、一見するとメリットのように思えます。しかし、減価償却がデメリットになる可能性も、あらかじめ考慮しておかないといけません。
費用を分割するということは、複数年にわたり会計上の費用として計上されることになります。つまり、減価償却を計上することで、黒字だったはずの決算が赤字になる可能性もあるのです。
年間に数百万円単位の減価償却が出ることは決して珍しくないため、注意しなければいけません。税理士にも相談しながら減価償却について考え、決算時に急に赤字にならないように処理することがポイントです。
国税庁が定める内装工事の耐用年数は何年?
耐用年数については、国税庁のWebサイト上に詳しく掲載されています。ここでは、以下の耐用年数を抜粋して記載します。
- 建物附属設備の耐用年数
- 店舗内装関連の備品類の耐用年数
- 他人の建物に対する造作の耐用年数
- 賃借資産についての改良費の耐用年数
減価償却を適切に行うためにも、それぞれの耐用年数を確認しておきましょう。
建物附属設備の耐用年数
主な建物附属設備の耐用年数は、以下の通りです。[注1]
| 構造・用途 | 細目 | 耐用年数 |
|---|---|---|
| アーケード・日よけ設備 | 主に金属製のもの その他のもの | 15年 8年 |
| 店用簡易装備 | - | 3年 |
| 電気設備(照明設備を含む) | 蓄電池電源設備 その他のもの | 6年 15年 |
| 給排水・衛生設備・ガス設備 | - | 15年 |
店舗内装関連の備品類の耐用年数
主な店舗内装関連の備品類の耐用年数は、以下の通りです。[注1]
| 構造・用途 | 細目 | 耐用年数 |
|---|---|---|
| 家具・電気機器・ガス機器・家庭用品 | 冷房用・暖房用機器 電気・ガス機器 氷冷蔵庫・冷蔵ストッカー(電気式を除く) | 6年 6年 4年 |
| 事務機器・通信機器 | インターホン パーソナルコンピュータ(サーバー用を除く) | 6年 4年 |
| 看板・広告器具 | 看板・サイン・気球 マネキン人形・模型 | 3年 2年 |
| 容器・金庫 | 手さげ金庫 その他金庫 | 5年 20年 |
| 理容・美容機器 | - | 5年 |
他人の建物に対する造作の耐用年数
借りているテナントやオフィスに独自の内装工事(造作)を行った場合、その費用は「合理的に見積もった年数」で減価償却するのが基本です。この年数は、建物の耐用年数や工事の種類、使用した材質などを考慮して決定します。なお、用途変更のための改装もこれに含まれます。
もし行った工事が「建物附属設備」に当てはまる場合は、建物附属設備の耐用年数を適用して償却する仕組みです。
ただし、例外として「賃貸の契約期間が決まっていて更新できない」「退去時に工事費用の請求や買い取りを貸主(大家さん)に求められない」という条件を満たす物件の場合は、その「契約期間」を耐用年数として償却できます。
なお、同じ建物内で行った内装工事は、全てまとめて1つの資産として扱います。そのため、耐用年数も個別に分けるのではなく、工事全体を総合して見積もる点に注意しましょう。
賃借資産についての改良費の耐用年数
借りている設備や備品(他人の減価償却資産)に対して、価値を高めたり寿命を延ばしたりするような改良工事(資本的支出)を行った場合、その費用は、対象となる設備や備品に本来定められている耐用年数に従って減価償却します。
ただし、このケースでも前項の「他人の建物に対する造作の耐用年数」と同様の例外ルールが当てはまります。「契約の更新ができない」「退去時に工事費用の請求ができない」などの条件を満たしていれば、借りている「契約期間」を耐用年数として償却することが可能です。
内装工事費を減価償却する際の3つの注意点とは?
店舗内装費用を減価償却する際に注意すべきなのは、以下の3つです。
- 改修工事は目的によって計上方法が変わる
- 原状回復工事は修繕費として計上できる
- 償却開始時期と取得価格は正確に把握する
ここでは、それぞれの注意点について詳しく解説します。
改修工事は目的によって計上方法が変わる
改修工事とは、建物の価値や機能を向上させるための工事を指します。取り扱い方法としては、資産として計上する場合と必要経費として計上する場合があります。
- 資産に計上するケース:固定資産の価値や耐久性を向上させる場合の工事(より性能の高い機械への交換や避難階段の設置など)
- 必要経費に計上するケース:維持管理や原状回復を目的にした工事(機械の移設や建物の解体移設など)
改修工事の内容に応じて、法令解釈が異なる場合があるため、注意が必要です。
原状回復工事は修繕費として計上できる
原状回復工事とは、建物を入居当初の状態に戻すための工事を指します。基本的には、修繕費として必要経費に計上可能です。
仕訳を行う際には、原状回復工事の費用であることを明記しないと、計上が認められない場合があるため、注意が必要です。
償却開始時期と取得価格は正確に把握する
店舗内装費用を減価償却する際には、取得価格と償却開始時期を正確に把握することが重要です。取得価格と償却開始時期を正確に把握できないと、減価償却費の計算が正確にできなくなる恐れがあります。
取得価格には、設計費や施工費用に加えて、機械の移設や解体費用なども含まれるため注意が必要です。正確に把握するためには、施工会社からの請求書をきちんと保管しましょう。
また、償却開始時期は通常、内装工事完了後となるため、忘れずに把握しておく必要があります。
まとめ|内装工事の耐用年数と減価償却のルールを把握して適切な経理処理につなげよう
本記事では、店舗やオフィスの内装工事における耐用年数について解説しました。
内装工事の費用は一度に全額を経費計上できず、国税庁が定める耐用年数に応じて分割して減価償却を行うのが基本です。建物の構造や用途、使用する設備によって耐用年数は細かく異なるため、事前に正確な年数を把握し、決算時の赤字リスクに注意しながら計画的に処理することが重要です。
また、新たに店舗をオープンさせる方やリニューアルを検討している方は、経理処理の準備だけでなく、内装工事の費用自体を適正に抑える工夫も必要となるでしょう。
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