飲食店にグリストラップの設置義務はある?3つの法令や清掃基準を解説
目次
飲食店を開業する時に気になるのは、「飲食店のグリストラップとは何なのか?グリストラップの設置は義務なのか?」ということではないでしょうか?
この記事を最後までお読みいただくことで、飲食店のグリストラップがどのようなものか、グリストラップを設置すべき理由が学べます。
当サイトは、2010年から数多くの飲食店を工事しており、類似サイト以上に多くの知識と実績がありますので、ぜひ参考にしてください。
結論から言えば、グリストラップとは、厨房の排水に含まれる生ゴミや油脂が下水に流れるのを防ぐための設備です。自治体によって、グリストラップの設置基準や清掃基準は異なります。
飲食店のグリストラップとは?
グリストラップ(グリーストラップ)とは、飲食店の厨房の排水に含まれる生ゴミや油脂が、下水に直接流れてしまうのを防ぐための設備です。
グリストラップを設置していないと、生ゴミや油脂が下水道に直接流れて環境に悪影響を与えてしまうため、ほとんどの業務用の厨房にはグリストラップの設置が義務付けられています。
排水には下水に流しても良いとされる水質基準がありますが、業務用の厨房では一般家庭よりも油脂量が多いです。
そのため、グリストラップを設置しないと水質基準を満たせなくなる場合があり、設置する必要があります。
グリストラップ内に溜まった油脂や汚泥は「産業廃棄物」として処理する必要がありますので、構造をしっかり把握して清掃することがポイントです。
グリストラップの仕組み
グリストラップは、厨房の排水が入ってから下水道へ流れるまでに、それぞれ異なった役割を担う3つの槽に分けられていることが多いです。
第1槽目では、厨房の排水に混ざっている残飯や生ゴミを取り除きます。大きなゴミは網状のバスケットで受け止めて、バスケットから抜ける細かいゴミは、グリーストラップの下に沈殿していくのが一般的です。
第2槽目では、仕切り板で水を滞留させることによって、さらに細かいゴミが分離され、油脂が浮上することで水と分離します。
第3槽目では、槽の下部にあるパイプのトラップを使い、さらにゴミや油脂分を分離させ、排水を下水道へ流します。
言葉ではイメージしにくいかもしれませんが、グリストラップのメーカーのホームページには、分かりやすく図解を載せているところもありますので、気になる方は探してみてください。
グリストラップの設置における3つの法令
次に、グリストラップの設置に関係の深い3つの法令について詳しく解説します。
- 水質汚濁防止法
- 下水道法
- 建築基準法
法令についてすべて詳しく知る必要はありません。ですが、本記事で要点だけは押さえておきましょう。
水質汚濁防止法
グリストラップの設置に関する法令の一つは「水質汚濁防止法」です。
この法令は、1970年に制定されました。公共用水域および地下水の水質汚濁防止を目的とし、国民の健康保護と生活環境の保全を図る目的で作られています。
特に、飲食店や食品加工施設では、油分や汚泥を含む排水がそのまま下水に流れ込むと、環境への悪影響が懸念されます。そのため、適切なグリストラップの設置と管理が必要不可欠です。
たとえば、水質汚濁防止法では、一定の基準を超える油分や汚泥の排出が禁止されており、6月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
この基準を守るためにグリストラップを適切に設置し、定期的な清掃や点検を行うことが事業者の責務です。
下水道法
次は、下水道法です。この法律は、下水道の適切な運用と維持管理を目的としており、排水設備に関する具体的な基準を定めています。
特に、飲食店や食品加工施設が排出する油脂や汚泥は、下水道管を詰まらせる原因になり、地域の排水機能に大きな影響を与える可能性があります。
グリストラップは、下水道の保護と地域環境の維持において、欠かせない設備といえるでしょう。適切な設置と維持管理を通じて、法令を遵守するだけでなく、施設内外の衛生環境を整え、持続可能な事業運営を実現することが重要です。
建築基準法
この法律は、安全で快適な建築物を確保するために定められており、排水設備についても基準が明記されています。
特に、飲食店や食品加工施設など、油分や汚泥を多く排出する施設では、建築計画の段階から適切なグリストラップの設置が義務付けられていると覚えておきましょう。
適切にグリストラップを設置できれば、施設内外での悪臭の発生や排水トラブルを未然に防げます。適切に設置されたグリストラップは、建物の使用における快適性を維持し、近隣環境との調和を図る役割も果たします。
建築基準法の要件を満たしたグリストラップの設置は、経営リスクの軽減と持続可能な施設運営への第一歩といえるでしょう。
グリストラップの設置基準
グリストラップの設置基準というのは、自治体によって違ってきます。自治体によってはグリストラップの設置が義務づけられており、もし設置していないと罰金などが科されることがあるので注意が必要です。
法律ではグリストラップの設置は義務化されていませんが、下水道法では、店舗の下水を定められた基準値より汚してはいけないと決められています。
もしグリストラップを設置していなければ、下水の基準値をクリアできません。そのため、実質的にはグリストラップの設置は義務だと考えるべきでしょう。
グリストラップの設置の基準は自治体に問い合わせ、下水道法については国土交通省に問い合わせてみましょう。
グリストラップの都道府県別の条例3選
本章では、グリストラップの都道府県別の条例を具体的に3つ解説します。
- 東京都の設置基準
- 大阪府の設置基準
- 福岡県の設置基準
それでは、詳しく見ていきましょう。
東京都の設置基準
東京都の条例では、基本的にすべての飲食店にグリストラップの設置を義務付けています。
また、定期的な清掃を行い、装置が適切に機能し続けるよう維持管理を徹底することも重要です。こうした基準を守ることで、法令遵守のみならず、下水トラブルのリスク軽減や近隣環境との良好な関係を築くことが可能になります。
東京都の設置基準をしっかりと理解し、適切な設備を導入することは、持続可能な事業運営への重要なステップといえるでしょう。
東京都に飲食店を開業する場合は、必ず設置基準を確認するようにしてください。
大阪府の設置基準
大阪府でも、下水道法の基準をクリアするようにグリストラップの設置を求めています。そのため、施設を新設または改装する際には、この条例を遵守することが必要です。
具体的には、油脂に関するものは1リットルにつき30ミリグラム以下であることが定められています。
条例を遵守することは、事業の信頼性を高めることにもつながります。大阪府の設置基準をしっかり把握し、適切な対策を講じることで、事業運営の安定と環境への配慮を両立できるでしょう。
福岡県の設置基準
福岡県では、油脂類を排出する事業場にグリストラップを設置して適切に管理することを呼びかけています。福岡県のホームページには、実際に油脂類で閉塞したマンホールや適切に管理されていないグリストラップの例が確認可能です。
また、福岡県では、飲食店に向けてグリストラップの維持管理を徹底することも呼びかけています。
- バスケットは毎日掃除すること
- 油脂はこまめに回収すること
福岡県に飲食店等を開業する場合は、一度ホームページを確認して、維持管理方法も徹底的に勉強する必要があるでしょう。
グリストラップを設置しなかったときの2つのリスク
本章では、グリストラップを設置しなかったときのリスクを解説します。
- 排水管が詰まる可能性がある
- 損害賠償を請求される可能性がある
グリストラップを設置しないリスクは多数存在します。そのため、リスクが分からない人は、ぜひ参考にしてください。
排水管が詰まる可能性がある
グリストラップを設置しない場合は、排水管が詰まるリスクが高まります。特に飲食店や食品加工施設では、排水に含まれる油脂や食べ物の残渣が下水管内に蓄積しやすく、これが詰まりの原因です。
排水の流れが滞ると、施設内の設備が使用不能になり、営業に大きな支障をきたす恐れがあります。
詰まりが発生すると、高圧洗浄や管内清掃といった大掛かりな工事が必要になることも珍しくありません。また、詰まりが原因で汚水が逆流した場合には、衛生面での問題が引き起こる可能性があるでしょう。
グリストラップを設置すれば、こうしたトラブルを未然に防げます。適切な設置と定期的な清掃を行うことで、排水の流れをスムーズに保ち、施設運営の安定化を図ることが可能です。
損害賠償を請求される可能性がある
グリストラップを設置しないことで、周囲に与える影響が大きくなると、損害賠償を請求されるリスクが生じます。
特に飲食店や食品加工施設では、油脂や汚泥が排水に混ざり、そのまま下水道に流れることで環境汚染や下水設備の損傷を引き起こす可能性があります。
これが原因で自治体や近隣住民から責任を問われるケースも少なくありません。
また、悪臭や水害といった二次被害が発生すると、近隣住民から直接的な損害賠償を請求される事例もあります。これらの問題は、施設の評判にも深刻な影響を与えるでしょう。
こうしたトラブルを防ぐには、グリストラップの設置が不可欠です。排水内の油脂や汚泥を適切に分離・処理することで、環境への負担を軽減し、トラブルを未然に防げます。
グリストラップを設置する3つのメリット
設置やメンテナンスが面倒なグリストラップですが、設置するメリットは非常に大きいです。
- 下水道法を遵守できる
- 害虫・害獣や臭いを防止できる
- 店舗を清潔なイメージにできる
今後、飲食店等の開業を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
下水道法を遵守できる
飲食店では思った以上に油を使いますので、あっという間に定められている下水の水質基準を上回る汚れを排出します。もしグリストラップを設置していれば、水質をしっかりコントロールできるため、環境保護の観点からも大切な設備なのです。
飲食店を開業してからグリストラップを清掃する際に、グリストラップに溜まっている汚れを見て、いかにお店から生ゴミや油脂が出ているかということに驚くでしょう。
飲食店にグリストラップを設置する明確な法律はありませんが、下水道法を遵守するためにはグリストラップの設置は必須と言えるでしょう。
自治体によっては、グリストラップの清掃基準も細かく定められていますので、必ず開業する地域の自治体のルールをチェックしておきましょう。
害虫・害獣や臭いを防止できる
グリストラップを設置するメリットの一つは、害虫や害獣、さらに悪臭の発生を効果的に防止できる点です。排水中の油脂や食品の残渣がそのまま流れ込むと、下水管内で腐敗し、強い臭気を発生させます。
この臭いが害虫や害獣を引き寄せる原因になり、施設内外の衛生環境が悪化します。
グリストラップは、排水に含まれる油脂や固形物を効率的に分離し、こうした問題を未然に防ぎます。
定期的な清掃と適切な管理を行うことで、施設の衛生環境を整えるだけでなく、地域からの信頼も得られるでしょう。結果的に、施設運営の安定化にも大きく貢献します。
店舗を清潔なイメージにできる
飲食店や食品加工施設では、排水中の油脂や汚泥が原因で悪臭が発生しやすく、それが顧客の印象に影響を与えることがあります。
しかし、グリストラップを設置することで、排水を適切に処理し、臭いや汚れの問題を根本から解消できます。
さらに、清潔感のある店舗は、地域社会や近隣住民からの信頼を得るために重要です。グリストラップを設置し、定期的なメンテナンスを行うことで、清潔で快適な店舗環境を維持し、事業の安定的な運営を実現しましょう。
グリストラップのサイズ・設置場所
飲食店にグリストラップを設置する時に、どれくらいのサイズの物を、どこに設置したら良いのか迷うこともあるでしょう。
- グリストラップのサイズ
- グリストラップの設置場所
- グリストラップの素材
- グリストラップの清掃基準
下水道法などの法律遵守の観点からも大切な設備ですので、よく理解しておきましょう。
グリストラップのサイズ
グリストラップ自体の設置を定めた法律が無いため、サイズの基準はありません。
しかし、グリストラップのメーカーに問い合わせれば、店舗の面積とお店の想定利用人数から、最適なサイズのグリストラップを教えてくれるでしょう。メーカーのサイトから簡単に調べられますので、気になる方は探してみてください。
同じ面積の飲食店でも、中華料理店などの重飲食と、カフェなどの軽飲食では、設置すべきグリストラップのサイズが変わってきます。そのため、大まかなフードメニューは、事前にある程度決めておいた方が良いでしょう。
グリストラップの設置場所
グリストラップは、いろいろな場所に設置できます。
たとえば、一般的なのは厨房の中に設置するケースです。厨房の中に設置する場合は、床の中に埋め込み式で、底が深くない浅型のグリストラップを、厨房の動線が崩されないような場所に設置します。
他にも、お店の外の厨房裏などに設置する屋外型もあります。これは1階の店舗でよくあるパターンで、排水経路上に設置することがあります。
屋外に設置するのは大型のグリストラップが多く、大量の油脂による臭いが問題となるケースなどに、外が設置場所としてよく選ばれます。
グリストラップの素材
グリストラップにはいろいろな種類があり、大きさだけではなく素材も異なります。たとえば、FRP製のものやステンレス製のものがあり、それぞれに特徴があります。
FRP製のものは軽くて強度の高い素材で、清掃がしやすく、腐食に強いという性質があります。一方、ステンレス製はさびに強く、メンテナンスもしやすく、見た目も美しい状態を長く保てます。
これらの素材にデメリットはほとんどありませんが、強いてデメリットを挙げるとすれば、ステンレス製は腐食が始まってしまうと清掃が大変なことです。
FRP製は腐食がほとんどありませんが、お店を閉めたりグリストラップを交換したりして、今までのものを廃棄する時に、廃棄処理にお金がかかります。
飲食店には不可欠なグリストラップですが、グリストラップのサイズや設置場所、素材なども検討して、自分のお店に最適なものを設置しましょう。
グリストラップの清掃基準
意外に知られていませんが、グリストラップには設置基準の他にも、清掃基準というものもあります。
このグリストラップの清掃基準は、各自治体が設けているもので、グリストラップから出た生ゴミや油脂、汚泥の処理に関する基準となります。
もしグリストラップの清掃基準を守らないと、罰金が科されたり、懲役が科されたりすることもあります。
ある自治体ではとても細かく清掃基準を作っていて、1日に1回はバスケットの中の生ゴミを処理し、週に1回は油脂を処理するようにと定めています。
グリストラップの清掃方法
最後に、グリストラップの清掃方法を第1~第3槽目までに分けて詳しく解説します。
- 第1槽目の清掃方法
- 第2槽目の清掃方法
- 第3槽目の清掃方法
それでは、詳しく見ていきましょう。
第1槽目の清掃方法
第1槽目は、排水中の大きな汚れや固形物を最初に捕まえる役割を担っており、適切な清掃を怠ると、油脂や汚泥が次の槽に流れ込んでしまいます。
その結果、グリストラップ全体の機能が低下し、排水トラブルの原因になる可能性があるため注意しましょう。
清掃の手順としては、まず第1槽内に溜まったゴミや汚泥を丁寧に取り除きます。その後、槽の内壁や底部に付着した汚れをブラシやスポンジを使ってしっかり洗い流すことが大切です。
この際、悪臭や衛生トラブルを防ぐため、ゴミや汚泥は専用の袋に密閉して廃棄します。清掃後は、槽内を水で流して汚れが残らないよう仕上げると良いでしょう。
第2槽目の清掃方法
グリストラップの第2槽目は、排水中の油脂や浮遊物を効果的に分離する重要な役割を果たします。この槽が詰まると、油脂が下水道に流れ込み、環境汚染や施設のトラブルを引き起こす原因になります。
清掃の手順として、まず第2槽目に浮いている油脂をひしゃくなどで取り除きましょう。その後、残った汚れを水とブラシでしっかり洗浄します。
第2槽目の清掃を徹底することで、グリストラップ全体の性能を保ち、排水トラブルを未然に防ぐことが可能です。清掃頻度は、週に2~3回程度がおすすめになります。
第3槽目の清掃方法
第3槽目の清掃は、トラップ管と呼ばれる排水管の掃除が主な方法です。排水管の部分は、細かい汚れやヌメリが残りやすいため、ブラシで丁寧に落としてきちんと洗浄する必要があります。
槽の隅々まで確認しながら作業を進めることが重要です。
最後に、トラップ管のフタは忘れず設置するようにしましょう。トラップ管のフタは、悪臭が外に漏れるのを防ぐ役割があります。
全体的に、ブラシで壁をきちんとこすり、浮遊物やゴミを取り除く必要があると覚えておきましょう。
まとめ|オーナーはグリストラップの設置基準を学んでおこう
ここまで、飲食店のグリストラップがどのようなものか、グリストラップの設置基準や清掃基準について解説してきました。
こちらの記事で、飲食店のグリストラップについて知り、グリストラップを設置するメリットを学べたと思います。こちらの情報を参考にして、理想のお店が完成することを願っています。
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