飲食店営業許可の種類は?満たすべき基準を詳しく解説
目次
飲食店をオープンさせるには許可証が必要です。この許可証がなく飲食店をオープン、経営していると罰則を受けます。また罰則だけでなく、その後の営業許可取得にまで影響を及ぼします。
この記事では、飲食店営業許可の種類や営業許可取得で満たすべき基準などを解説します。
飲食店営業許可の種類
飲食店を営業するには専用の許可を取得しておく必要があります。一般的に飲食店の場合は、「飲食店営業許可」と「深夜酒類提供飲食店営業開始届」を取得・提出しておきましょう。
一般的な飲食店のオープンには飲食店営業許可が必要
カフェやレストラン、食堂など一般的な飲食店をオープンさせるには飲食店営業許可が必要です。
以前はカフェや喫茶店を営業するためには喫茶店営業許可が必要でした。しかし、2021年6月1日に食品衛生法が改正されたことによって、喫茶店営業許可は飲食店営業と統一されました。
なお、一般的な飲食店であれば飲食店営業許可の取得で対応可能です。しかし、菓子の製造やアイスクリーム類の製造には菓子製造業、アイスクリーム類製造業など、業種に特化した営業許可を取得しましょう。[注1]
[注1]厚生労働省:営業許可業種の見直しの考え方 P2.P5(参照2023-10-02)
深夜酒類提供飲食店営業開始届を提出
飲食店を深夜(深夜0時以降)も営業する、お酒をメインで提供する場合は、深夜酒類提供飲食店営業開始届を管轄する警察署に提出します。
飲食店営業許可を得るための基準を種類ごとに解説
飲食店営業許可を得るために求められる基準は、自治体によって細かな違いがあります。ここでは東京都における飲食店営業許可を得るための基準を、営業施設の構造、食品取扱設備、給水および汚物処理に分けて解説します。
いずれも、自動販売機以外のすべての業種に求められる基準です。
営業施設の構造
営業施設の構造は場所、区画、面積だけでなく、明るさや更衣室などについても取り決めが存在します。具体的には次のとおりです。[注2]
- 場所:清潔な場所であること
- 建物:十分な耐久性が備わっていること
- 区画:使用の目的に応じて、壁や板で区画すること
- 面積:取扱量に応じていること
- 床:耐水性があり排水がよく、清掃しやすいこと
- 内壁:床から1メートルまで耐水性があり清掃しやすいこと
- 天井:清掃しやすいこと
- 明るさ:50ルクス以上であること
- 換気:換気扇などの換気機能が備わっていること
- 周囲の構造:周囲に地面は耐水性材料で舗装されていて排水がよく、清掃しやすいこと
- ねずみ、昆虫などの防除:ねずみや昆虫などの防除設備が備わっていること
- 洗浄設備:原材料や食品などを洗うための流水式洗浄設備、従業員専用の流水受槽式手洗い設備と手指の消毒装置が備わっていること
- 更衣室:作業場外に清潔な更衣室もしくは更衣箱を設けること
[注2]東京都保険医療局:新たに食品に関する営業を始められる皆さんへ P4(参照2023-10-02)
食品取扱設備
食品取扱設備の基準は冷蔵庫などの整備や配置だけではありません。次のように、温度計や圧力計の設置が求められるケースもあります。[注2]
- 器具などの整備:取扱量に応じた数の機材や器具を備えること
- 器具などの配置:移動しにくい機材や器具は清掃、洗浄しやすい場所に配置すること
- 保管設備:原材料や食品を衛生的に保管できる設備を備えること
- 器具などの材質:耐水性で洗浄しやすく、熱湯や蒸気、殺菌剤などでの消毒が可能であること
- 運搬具:状況に応じて防虫、防じん、保冷が可能な清潔な食品運搬具を備えること
- 計器類:冷蔵、殺菌、加熱、圧縮などの設備には、見えやすい場所に温度計および圧力計を、また状況に応じて計量器を備えること
[注2]東京都保険医療局:新たに食品に関する営業を始められる皆さんへ P4(参照2023-10-02)
給水および汚物処理
給水および汚物処理についての基準は、給水設備だけでなく清掃器具の格納場所についても定められています。[注2]
- 給水設備:水道水または飲用適と認められる水を豊富に供給できること。貯水槽は衛生上支障のない設備で、島しょ部などで飲用の水を得られない場合はろ過や殺菌などの設備を設けること
- 便所: 作業場に影響が出ない位置と構造で、従業員の人数に応じた数を設けること。また、使用しやすいもので、ねずみや昆虫の防虫設備、専用の流水受槽式手洗い設備、手指の消毒装置を設けること
- 汚物処理設備:ふたがあり、耐水性で十分な容量があり、清掃しやすく汚水や汚臭が漏れないこと
- 清掃器具の格納設備:作業場専用の清掃器具と格納設備を設置すること
[注2]東京都保険医療局:新たに食品に関する営業を始められる皆さんへ P4(参照2023-10-02)
飲食店営業許可を得るときの注意点
飲食店営業許可を得るときには、次のような点を意識しましょう。
- 開業計画を綿密に策定する
- 営業許可証の更新タイミングに注意する
開業計画を綿密に策定する
飲食店営業の許可を得るには、開業計画を綿密に策定しておきましょう。飲食店を開業するには物件の契約や内装工事などさまざまな準備が必要です。そのため、開業計画を綿密に立てて進めていくことがポイントです。
開業計画の策定をおろそかにしてしまうと、営業許可証を取得できず開店が遅れてしまう可能性があります。
営業許可証の更新タイミングに注意する
飲食店の営業許可証を取得したら、更新タイミングを把握しておきましょう。飲食店の営業許可証は定期的な更新が必要です。更新の期間は店舗によって異なりますが、一般的に5~8年ほどでの更新です。
更新時期が迫ってきたら、1ヶ月前には更新手続きを済ませておくと安心でしょう。
なお、有効期限が切れている営業許可証のまま営業を続けていると罰則の対象となってしまうため、忘れずに更新することが大切です。
【まとめ】飲食店の営業許可を取得して適切な運営を
飲食店を開店するには飲食店営業許可が必要です。飲食店営業に必要な許可はどのような業種かによって異なります。一般的な飲食店であれば、通常の飲食店営業許可で店舗の運営が可能です。
飲食店営業許可を取得するには自治体ごとに異なる基準を満たす必要があります。たとえば、東京都であれば営業施設の構造や食品取扱設備、給水および汚物処理の基準を満たさなければなりません。
また、飲食店の営業許可を取得する際は、開業計画を綿密に策定しましょう。開業計画にズレや遅れが発生すると、許可証の取得が遅れてしまい、開店予定日が後ろ倒しになってしまいます。
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