飲食店の開業における消防法の基本を解説|必要な届出や消防設備とは?

飲食店の内装工事で注意すべき消防法は?消防署への届出も解説!

飲食店を開業する時に気になるのは、「内装工事で注意すべき消防法はあるか?消防署への届出は必要か?」ということではないでしょうか?

この記事を最後までお読みいただくことで、飲食店の内装工事で注意すべき消防法や、消防署への届出の必要性、飲食店に必要な消火設備を学べます。

当サイトは、2010年から数多くの飲食店を工事しており、類似サイト以上に多くの知識と実績がありますので、ぜひ参考にしてください。

結論から言えば、飲食店の内装工事では、防災関係と排気関係に気を付ける必要があります。消防署への届出が必要かどうかは状況によるため、ポイントを押さえて開業しましょう。

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飲食店の火災は増加傾向にある

飲食店の火災は増加傾向にある

近年、飲食店の火災が増加傾向にあります。ほとんどは厨房からの出火が原因です。

厨房器具は、調理方法の複雑化や器具の高火力化にともない、さまざまな変化を遂げています。複雑な調理器具を知識なしに扱ってしまうことが、現代で飲食店の火災が増加傾向にある大きな原因です。

飲食店経営者は、火災の増加傾向を真剣に受け止め、定期的な防火設備の点検やメンテナンス、従業員への防火教育などを考えなければいけません。

安全な飲食店運営のために、火災予防の重要性を再認識し、具体的な対策を実施しましょう。

飲食店の内装工事で注意すべき消防法

飲食店の内装工事で注意すべき消防法

店舗の中でも特に飲食店は、調理の際に火を使うため火事に注意が必要です。提供するメニューによっては、煙も発生します。そのため、本章では、防災関係と排気関係の注意すべきポイントを詳しく解説します。

  • 飲食店の防災関係のポイント
  • 飲食店の排気関係のポイント

実際には、信頼できる内装業者に任せておけば、そこまで心配する必要はありません。

飲食店の防災関係のポイント

店舗の内装工事には、建物の用途・構造・規模区分などによって内装に一定の制限があります。火災が生じた場合に燃え広がらず、有毒ガスが発生しないよう細かな内容が規定されています。

例えば、ビル内のテナントには内装制限があり、ビル全体を不燃にするため、内装に燃える材料は使えません。ビルごとにルールが決まっているので、ビル内のテナントの場合は必ず事前に確認しましょう。

いわゆる飲食ビルのような複合商業施設では、管理部門が防災について管理しています。また、ビルやマンションの1階では、飲食店は禁止というケースもあります。

路面店に関しても、不動産屋や大家さんとの契約時に、店舗の内装制限について確認しておきましょう。

店舗の内装制限と建築基準法については、以下のページで詳しく解説していますので参考にしてください。

飲食店の排気関係のポイント

飲食店の排気関係としては、物件に厨房の排気を出す穴があるかどうか、排気をどこから出すかがポイントになります。

飲食店街であれば臭いが問題になることはありませんが、住宅街やマンションの1階の飲食店だと、排気ダクトを屋上まで上げなければならないケースも多いです。排気ダクトを屋上まで上げると、それだけで150~200万円はかかります。

普通は排気ダクトを壁から出して、排出口を少し上に向けたり、立ち上げて横に振ることで解決します。しかし、臭いの場合は、近隣から苦情が入ると役所から指導があり、対応できないと営業停止になる恐れもあるため注意が必要です。

壁からそのまま排気を出していいのか、壁に穴を開けて排気を出すのか、排気ダクトを屋上まで上げる必要があるのか、物件を契約する前に不動産屋や大家さんに確認しておきましょう。

【消防法】飲食店に必要な消防署の届出とは?

【消防法】飲食店の開業に必要な消防署への届出とは?

飲食店を開業するためには消防法を守る必要があり、条件に当てはまる場合は、消防署に届出をしなければなりません。提出が必要になる可能性の高い届出は、主に以下の通りです。

  • 防火対象物工事等計画届出書
  • 防火対象設備使用開始届
  • 火を使用する設備等の設置届
  • 防火管理者選任届
  • 消防用設備設置の届出

もし届出を提出していないことが発覚すれば、ペナルティを課せられるだけでなく、営業を続けられなくなる可能性もあります。仮に営業を続けられても、お客様の信用は取り戻せないため、客足は遠のくでしょう。

そうならないためにも、事前に消防法についてしっかりと知り、必要な場合は開店前にきちんと消防署に届出を提出してください。

防火対象物工事等計画届出書

飲食店を開業する際には、防火対象物工事等計画届出書の提出が必要です。防火対象物工事等計画届出書は、建物や建物の一部を工事する場合に用意しなければなりません。建物や建物の一部を工事する場合に用意しなければなりません。

この届出書は、店舗の内装工事や設備の変更が消防法に適合しているかを確認するための書類です。届出書の提出は、工事を始める7日前までに消防署へ提出しましょう。

また、届出書を提出する場合は、工事内容の詳細や設計図面、使用する建材の種類なども合わせて用意する必要があります。

防火対象設備使用開始届

飲食店を開業する際には、防火対象設備使用開始届の提出が必要です。防火対象設備使用開始届は、建物や建物の一部をこれから使用するタイミングで用意する届出書です。

この届出を行い、適切な防火設備が整っていることを証明すれば、営業を開始できます。

もし、故意に提出しない場合や隠ぺいした場合は、1億円以下の罰金、または3年以下の懲役が科せられるので絶対に提出しましょう。防火対象設備使用開始届の提出期限は、工事を始める7日前です。

火を使用する設備等の設置届

飲食店を開業する際には、火を使用する設備等の設置届の提出が必要です。

火を使用する設備等の設置届は、ガスコンロやオーブン、フライヤーなど、火を使用する設備の設置に関する情報を消防署に報告するための書類です。この届出書も、設置する7日前に消防署へ提出しなければなりません。

具体的には、主に以下の要素を記載します。

  • 設備の種類
  • 設置場所
  • 使用する燃料の種類や容量

火を使用する設備等の設置届は、顧客や従業員の安全を守るためにも欠かせない手続きです。

防火管理者選任届

防火管理者選任届は、店舗の防火管理者を選任した場合に消防署に報告する書類です。防火管理者は、火災予防や消防計画の作成、消火設備の点検など、店舗の防火対策全般を管理する重要な役割を担います。

防火管理者は、店舗の規模や収容人数に応じて提出が義務付けられており、飲食店の収容人数が30人以上の場合に必要です。

適切な防火管理者を選任し、届出を行うことで火災リスクを最小限に抑えましょう。

消防用設備設置の届出

消防用設備設置の届出は、消火器や火災報知器、スプリンクラーなどの消防用設備を設置したときに必要な届出です。具体的には、設置する設備の種類や配置場所、数などの詳細を記載します。

注意点として、消防用設備設置の届出は設置してから4日以内に管轄の消防署へ提出する必要があります。防火対象設備使用開始届とは、期限が異なることを覚えておきましょう。

消防用設備設置の届出を提出した場合は、原則として消防署の検査を受ける必要があります。設置されていた設備を改修した場合でも届出書を用意する必要があるため、十分に注意しましょう。

飲食店に必要な4種類の消防設備

飲食店に必要な4種類の消防設備

本章では、飲食店に必要な4種類の消防設備について詳しく解説します。

  • 消火設備
  • 避難設備
  • 警報設備
  • 消防活動用設備

それぞれの設備では、立地条件によって詳細に決まりごとがあります。そのため、不明点があった場合は、管轄の消防署へ質問するのがおすすめです。

消火設備

消火設備は、速やかに消火活動を行うために欠かせません。消火設備には、主に以下の設備が含まれます。

  • 消火器
  • 屋内消火栓
  • スプリンクラー

例えば、消火器は火災の初期段階で迅速に対応するための基本的な設備であり、適切な場所への配置が必要です。

消火設備の設置は、消防法に基づいて行われるべきであり、定期的な点検とメンテナンスも欠かせません。

避難設備

実際に火災や地震などの災害が発生した場合には、避難設備を活用してお客様や従業員の安全を守ります。避難設備は、主に以下の通りです。

  • 避難はしご
  • 救助袋
  • 誘導標識
  • 非常口誘導灯

避難はしごや救助袋などの避難器具は、以下の条件で設置が義務付けられています。

  • 2階以上で収容人数50人以上
  • 2階以上で地上に直結する階段が2箇所以上設けられていない場合は収容人数10人以上

避難標識や誘導灯は、原則すべての飲食店に設置義務があります。避難設備に関しても、定期的な点検とメンテナンスを行い、常に機能する状態を保つことが重要です。

警報設備

飲食店の警報設備は、火災や緊急事態を早期に検知し、迅速に知らせるための重要な設備です。警報設備には、主に以下の装置が含まれます。

  • 自動火災報知設備
  • ガス漏れ火災警報設備
  • 漏電火災警報器

自動火災報知設備は、一般的な基準で延べ面積300平方メートル以上の場合に設置義務があります。しかし、11階以上で飲食店を開業する場合は、延べ面積に限らず設置しなければなりません。

警報設備に関しても、それぞれ消防法により細かい規定が用意されています。自分では対処できない場合は、専門家に相談するのもおすすめです。

消防活動用設備

消防活動用設備とは、消防隊員の消火活動をサポートする設備を指しています。具体的には、排煙設備や連結散水設備が挙げられます。

排煙設備は、火災時に発生する煙を迅速に排出し、避難や消火活動を円滑に進めるために必要です。連結散水設備は、地下階に設置する消防用設備であり、熱の充満で消防活動が難しくなることを避ける目的で設置されます。

すべての消防活動用設備が設置義務化されているわけではなく、飲食店の面積や階数などさまざまな条件があるため、事前に確認する必要があります。

飲食店の消防法に関するよくある質問とは?

飲食店の消防法に関するよくある質問とは?

最後に、飲食店の消防法に関するよくある質問を解説します。

  • 消防署への届出は必須なのか?
  • 乙種と甲種?延べ床面積とは?
  • 防火管理者の資格取得は難しい?
  • 飲食店開業時の消防検査の流れとは?

それでは、詳しく見ていきましょう。

消防署への届出は必須なのか?

実は店舗が小さければ小さいほど、防火管理者選任届を消防署への提出していない店舗は多い傾向があります。

これには明確な線引きがあり、収容人数が30人未満の場合は、消防署に防火管理者選任届を提出する必要がありません。30人以上の店舗の場合は、防火管理者が必要となるため、消防署への届出が必要となります。

ただし、勘違いしてはいけないのは、経営者や店員も含めての30人であり、お客様の数だけではありません。客席数は30人未満だが、従業員を含めると30人の場合は、届出していないと違法になるため注意しましょう。

  • 収容人数30人未満:防火管理者は必要ない
  • 収容人数30人以上:防火管理者が必要

乙種と甲種?延べ床面積とは?

延べ床面積とは、建物の各階の床面積の合計面積です。複数の階層がある店舗の場合は、各階の面積を測る必要があります。吹き抜け部分はカウントされないので、その点も覚えておきましょう。

延べ床面積が300m2(約90坪)未満であれば乙種防火管理者、300m2以上だと甲種防火管理者が必要です。つまり、収容人数が30人未満で、延べ床面積が300m2未満の場合は、資格も届出も必要ないということです。

  • 延べ床面積300m2未満:乙種防火管理者が必要
  • 延べ床面積300m2以上:甲種防火管理者が必要

防火管理者の資格取得は難しい?

甲種防火管理者、乙種防火管理者のどちらの資格も、地域の消防署で1日講習を受ければ、資格を取得できます。

資格を取った後は、防火管理者選任の届出と防火管理者資格を消防署に提出すれば、それだけで届出は完了します。防火管理者は1店舗に1人いれば良いので、何人も資格取得をする必要はありません。

分かりやすく表にまとめると、以下のようになります。

収容人数/延べ床面積300㎡未満300㎡以上
30人未満必要ない必要ない
30人以上乙種防火管理者が必要甲種防火管理者が必要

30人とは微妙な人数であり、後でスタッフを増やすと簡単に30人を超えてしまうことも多いです。スタッフを増やす予定がある場合は、早めに防火管理者の資格を取得しておいた方がよいかもしれません。

飲食店開業時の消防検査の流れとは?

飲食店開業時の消防検査の流れは、主に以下の通りです。

  1. 届出の提出
  2. 現地検査
  3. 済証の受け取り

もし不備が見つかった場合は、指摘された箇所を改善し、再度検査を受ける必要があります。消防検査をスムーズにクリアするためには、事前に専門家のアドバイスを受け、万全の準備を整えることが大切です。

飲食店には消防法への知識が必要不可欠

ここまで、飲食店の内装工事で注意すべき消防法や、消防署への届出の必要性、飲食店に必要な消防設備について解説してきました。

こちらの記事で、内装工事で気を付けるポイントを知り、消防署への届出が必要な基準も学べたと思います。こちらの情報を参考にして、理想のお店が完成することを願っています。

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