デイサービスの開業のための5つの準備
目次
デイサービスなどの福祉事業は、高齢化社会が進むにつれて需要が増している分野なので、開業を計画している方も多いでしょう。
しかし需要が増えているといっても、適切な準備を行ってニーズに合ったサービスを提供しなければ、安定した経営はできません。デイサービスを開業する際に、どのような準備が必要かを見ていきましょう。
準備1:デイサービスの開業前の注意点
デイサービスを開業する前に、どのようにして利用者を集めるかを考えておかなければなりません。せっかくオープンしても、利用者が集まらなければ、デイサービスとして成り立たないからです。
特徴のあるデイサービスを提供することで、他のデイサービスと差別化することができます。
ケアマネージャーへの営業
デイサービスを開業して利用者を集めるには、ケアマネージャーとの密接な関係が欠かせません。
介護の業界ではアポ無しで営業に行くのが普通ですが、アポ無しで訪問されるケアマネージャーの気持ちを考えてみましょう。ケアマネージャーが来てくれて良かったと思ってくれるように、訪問する必要があります。
介護業界の最新情報を持って行ったり、ケアマネージャーに役立つ情報を提供するなど、相手にメリットを提供することを考えます。そのような気持ちがあれば、ケアマネージャーと良い関係を築けるでしょう。
デイサービスの人員基準
デイサービスは1人でできるものではなく、スタッフの協力があって初めてサービスを提供できます。
スタッフとしてまず必要になるのは管理者で、常勤で1名必要ですが、資格は関係なく他の業務と兼務できます。生活相談員も常勤で1名必要になり、以下の資格を持っている方が行えます。
上記の資格を持っていなくても、地域によっては生活相談員を設置できることもあるので、自治体の介護保険課の情報を確認しておく必要があります。
さらに介護職員も必要になり、資格は必要ありませんが、デイサービスの規模に合わせて必要な人員の数も変わります。資格を持っていなければ業務できない人員には、看護職員や機能訓練指導員があります。
人員 | 人員配置 |
---|---|
管理者 | 常勤の者1名以上(通所介護の事業以外の職務に従事しない常勤の者) |
生活相談員 | 専従の者1名以上(社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事やこれらと同等の能力を有する者) |
看護職員 | 1名以上(看護師もしくは准看護師であること) |
介護職員 | 利用者数15名まで:専従の者1名以上(特に資格要件なし) 利用者数16~20人:2名以上 利用者数21~25人:3名以上 利用者数26~30人:4名以上 |
機能訓練指導員 | 専従の者1名以上(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、准看護師、柔道整復師、あんまマッサージ指圧師であること) |
必要書類の提出
管轄している自治体に申請書類を提出します。自治体によって必要になる書類が異なる可能性もありますが、基本的な書類はどこの自治体でも準備する必要があります。
事業申請書類や従業員の勤務体制についての一覧、事業所の平面図などが基本的な書類に含まれます。
準備2:法人格と必要な資金を用意する
デイサービスを事業として行う際には、法人格の取得が求められます。法人格にはいくつかの種類がありますので、種類別に見ていきましょう。
株式会社
資本金1円からでも始められる形態で、取締役も1名で設立できます。登録も含めて、設立に1ヶ月ほどかかります。最低でも設立に20万円ほどかかるため、登録にかかる費用も計算しておく必要があります。
合同会社
設立に時間がかからず、費用も安く済みます。株式会社と比べて特に変わることはありませんが、株式会社より認知度が低いのがデメリットです。最近は合同会社も増えているので、デメリットも少なくなっています。
NPO法人
NPO法人は世間からの信頼も高く、資本金も税金も不要になるのがメリットです。設立までに時間がかかることと、他の形態よりも人件費が高いのがデメリットですが、公益性が高いので仕方がないでしょう。
法人格 | メリット | デメリット |
---|---|---|
株式会社 | 資本金1円、取締役1名でも設立できる | 設立に1ヶ月の時間と、20万円ほどの費用がかかる |
合同会社 | 設立に時間がかからず、費用も安く済む | 株式会社より認知度が低い |
NPO法人 | 信頼が高く、資本金も税金も不要になる | 設立に時間がかかり、他の形態よりも人件費が高い |
これらの法人を設立した後は、開業するために必要な資金を準備していきます。目安として、開業には1,500万円ほど必要なため、しばらくの間の運転資金と合わせて、融資を受けて準備するのが普通です。
資金の内容 | 目安の金額 |
---|---|
店舗の家賃 | 1坪2万円×30坪=家賃60万円 |
店舗の保証金 | 家賃×10ヶ月分=保証金600万円 |
店舗の工事費 | 坪単価30万円×30坪=900万円 |
資金調達の方法としては、日本政策金融公庫が最初に挙げられます。日本政策金融公庫は政府が運営している機関で、介護事業を始める時にも様々な融資制度を利用できます。
もう1つの方法は介護報酬ファクタリングですが、介護報酬が振り込まれるまでのタイムラグがあります。起業当初は資金繰りに苦労する可能性も高いですが、ファクタリングを利用すれば資金を補うことができます。
融資を受けるということは、人からお金を借りるということですから、しっかりとした事業計画書を準備しなければなりません。ちゃんとした事業計画が無い人に、お金を貸したいと思う人などいないのです。
どのようなコンセプトで運営し、他のデイサービスとどのように差別化し、利用者にどのようなメリットを与えられるのか、分かりやすくまとめます。
デイサービスを開業する際は、ある程度の自己資金も必要になります。一般的に開業資金の半分を自己資金で用意できれば、スムーズに起業できますので、自己資金を貯める際の基準にしましょう。
準備3:デイサービスに適した物件探し
デイサービスを開業する時には、デイサービスに適した物件を探す必要があります。コンセプトにしているデイサービスの種類によって、物件選びも変わってきます。
できるだけ改装が少なく済み、自分のイメージに近い物件を見つけるためにも、予めコンセプトを決めておかなければなりません。コンセプトが決まってから、出店予定地域の不動産屋を訪問し、物件を探します。
複数の不動産屋を訪問
不動産屋によって、得意とする物件のジャンルが異なります。複数の不動産屋に相談をすることで、自分のイメージに合った物件を見つけられる可能性が高まります。
特にデイサービスを開業する際は、デイサービスの店舗として使用できる物件を探さなければならないので、複数の不動産屋を訪問すると良いでしょう。
コンセプトと法令基準
可能性がある物件を見つけたら、介護事業者指定申請の窓口や自治体、消防署などに相談します。図面を見てもらい、介護施設に求められている法令基準を満たしているのか、事前に確認してもらいます。
物件の場所がデイサービスを開業しても良い地域か、構造が介護事業者に指定されている設備基準に合っているかも確認します。さらに消防設備の設置の問題や、用途変更の必要性も確認しておきましょう。
上記の点を考えながら、立地条件なども考慮します。高齢者が多い地域なのか、また送迎車からの乗り降りがしやすいスペースを確保できるかも、物件を選ぶ上での大きなポイントになります。
高齢者を相手にすることを念頭に置けば、デイサービスに適した立地なのかを判断できます。もし自社の送迎車だけでなく、利用者の家族が送迎することも考えるのであれば、駐車場の設置も検討しましょう。
このような条件を考えていくと、自分に適した物件のイメージが見えてくるでしょう。一度開業してしまうと、後で移転するのは難しいので、最初にどこで開業するかをじっくりと考えることが非常に重要です。
準備4:デイサービスの設備基準と備品
デイサービスに適した物件が見つかったら、内装や設備を決定していきます。内装や設備にかかる費用は、開業資金のうちの大部分を占め、開業資金の半分ほどになるケースが多いです。
デイサービスの内装や設備工事を依頼する際は、デイサービスや医療機関の工事経験が豊富で、依頼どおりに工事してくれる内装業者を探すことがポイントです。
デイサービスに必要となる主な部屋は、食堂、機能訓練室、事務室、その他の諸部屋です。部屋ごとに、ポイントになる点を見ていきましょう。
食堂
食事をする部屋が必要で、利用定員数×3m2の面積が求められます。たとえば利用定員が20人であれば、60m2以上の面積を用意しなければなりません。
機能訓練室
機能訓練室とはリハビリを行うスペースのことで、上記の食堂と同じ面積が求められます。内装工事の費用を抑えるために、2つの部屋を合わせて一体として使うことも可能です。
事務室
事務室には面積の基準はありません。しかし、最低でも4人程度は座れるスペースが必要でしょう。最低でも4人の従業員が作業できるように、テーブルと椅子を置けるくらいの面積を確保しましょう。
設備 | 面積 |
---|---|
食堂 | 利用定員1人あたり3m2以上 |
機能訓練室 | 利用定員1人あたり3m2以上(食堂と合わせることも可能) |
静養室 | 規定なし |
事務室 | 規定なし |
相談室 | 規定なし |
デイサービスを開業するにあたり、必要な内装や設備はこのようなものです。これらの部屋がそのまま残っているような居抜き物件を見つけられれば、内装工事の費用を抑えられます。
しかし居抜き物件の場合は、以前に同じ事業で失敗した過去があるわけです。内装や設備以外の点で、以前のデイサービスより魅力あるサービスを提供しなければなりません。
送迎車と介護用品
デイサービスにとって、送迎車は必需品です。
最初の申請の際にも送迎車の書類が必要になるので、どのくらいの規模で事業を行うのかが決まったら、送迎車の購入を進めましょう。送迎車を購入するのか、またはリースで用意するのかも検討します。
他にも書類を作成したり、申告に使うパソコンも必要です。さらにサービスの提供に必要な机やいす、ベッドも購入して、リハビリなどが滞りなく行えるようにします。これらの備品は、オープンまでに少しずつ購入しましょう。
物件が決まったから一安心と思っても、内装や設備について考えなくてはいけません。デイサービスを行う上で内装と設備は重要ですので、開業後のことを考えて、しっかりと準備を進めていきましょう。
準備5:デイサービスの開業前の準備
オープンに先立って、スタッフを募集していきます。さらに介護報酬請求ソフトの導入や広告なども、最終段階の準備として必要になります。
デイサービスの規模に合わせて、人員の数を決めて募集をかけます。介護サービスは人が行うものなので、採用は非常に重要です。ハローワーク、求人サイト、フリーペーパーなどを活用して、最適な人材を募集します。
最近はインターネットの求人サイトへの掲載が効果的なため、積極的に活用すると良いでしょう。オープニングスタッフであれば、フリーペーパーなどで地元の方を募集してみるのも効果的です。
介護報酬請求とマニュアル
介護報酬請求ソフトを導入しておくと会計が楽になるので、現在の介護業界では必須になっています。介護報酬請求ソフトを導入して、業務に必要な情報をミスなく管理すれば、効率の良い経営ができます。
今まではこのような作業を紙で行ってきたため、インク代や紙代がかかっていましたが、ソフトを導入すれば経費の節約にもつながります。導入費用はかかりますが、長い目で見れば、時間と経費の節約に貢献します。
パソコン関係の準備には、マニュアルや就業規則の作成も含まれます。
どのようなサービスを行い、どのように働いてもらうのか、しっかりとしたマニュアルはサービスの質を安定させるのに大切です。良いサービスを提供できるように、マニュアル作成にも重点を置きましょう。
ホームページと広告
デイサービスを開業しても、最初の利用者を獲得しなければ経営できません。そのため、オープン前から利用者を獲得するために行動していきます。
利用者を獲得するために、ホームページを作成し、広告を掲載して、新規の利用者を集めていきます。今は多くの人がスマホで調べるため、必ずスマホに対応したホームページを作成するようにしましょう。
広告も同様に、インターネット上での掲載が効果的です。フリーペーパーや新聞広告も検討できますが、ほとんどの人がスマホを使っている現状を考えると、広告もインターネット上で掲載するのが効果的です。
新規の利用者を獲得するためには、多くの行動が必要です。最初に多くの利用者を集められれば、安定して経営できます。スムーズに開業するために、できることを見つけて着実に行っていきましょう。
まとめ
いくら需要が多いといっても、デイサービスを開業するには準備も必要です。これから需要が急激に減ることはないとしても、開業してから長く経営していくには、しっかりとした準備が求められます。
行なうべきことをリストアップし、問題なく開業できるように準備を進めていきましょう。苦労を乗り越えてデイサービスをオープンすれば、きっと従業員として働いていた時よりも大きな満足感が得られるでしょう。
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