【8年が適切?】厨房機器の耐用年数を一覧で紹介|買い替えのベストタイミング
目次
飲食店を経営している場合に気になるのは、厨房機器の買い替えタイミングでしょう。一般的には、8年が適切といわれています。しかし、適切な買い替えタイミングを知るためには、耐用年数と耐久年数の違いを把握しておかなければなりません。
ここでは、厨房機器に関する基礎知識をお伝えします。ぜひ、厨房機器を揃える際の参考にしてみてくださいね。
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耐用年数とは?耐久年数との違い
耐用年数とは、購入した資産がどれくらいの期間にわたって使用できるかを示す目安のことです。主に税法上で使用される用語で、その資産を何年かけて費用で計上していくかを決める基準になります。
一方、耐久年数は物理的にどれくらいの寿命があるかを指します。耐久年数は、必ずしも耐用年数と一致するわけではありません。耐用年数は法的・税務的な基準であるのに対し、耐久年数は実際の使用における基準です。
【国税庁】主な厨房機器の耐用年数一覧
厨房機器の耐用年数は、国税庁が公式に発表しています。今回は、国税庁の発表を基に、一般的な厨房機器の耐用年数を紹介します。
厨房機器の名称 | 耐用年数 |
---|---|
陳列だな、陳列ケース(冷凍機付・冷蔵機付のもの) | 6年 |
冷房用・暖房用機器 | 6年 |
氷冷蔵庫、冷蔵ストッカー(電気式のものを除く) | 4年 |
食事・厨房用品(陶磁器製・ガラス製のもの) | 2年 |
じゅうたんその他の床用敷物(その他のもの) | 6年 |
厨房機器を購入した際は、耐用年数を必ず把握するようにしましょう。
代表的な厨房機器の種類とは?
次に、一般的な厨房で使用される代表的な機器を網羅的に紹介します。
- シンク
- 調理台・作業台
- コールドテーブル
- 食器棚
- 冷凍・冷蔵庫
- 製氷機
- ガステーブル・ガスレンジ
それでは、詳しく見ていきましょう。
1.シンク
業務用シンクというのは、一般的に1槽・2槽・3槽というように、水槽数でタイプが分類されています。手前の縁が浅くて横長タイプの舟形シンクもあり、まな板をシンクの中に置いて魚介類を調理するのに適しています。
シンクを選ぶポイントとしては、食品営業許可基準を満たしているかが大事なポイントです。基準によれば、シンクは2槽以上。奥行きは36㎝以上・幅45㎝以上・深さ18㎝以上、これが1つのシンクに対する条件になっています。
しかし、シンクが1槽の場合であっても食洗機があると2槽とみなされるケースがあるので、確認するようにしましょう。
2.調理台・作業台
調理や作業を行う台には、さまざまなタイプがあります。たくさんある中から、調理台・作業台を選ぶ際には、何を作業台の下に収納すると使い勝手が良いかを考えることがポイントです。
また、作業台に関してはサイズも豊富なので、厨房の広さはもちろん、作業導線などもチェックして、適切なサイズの物を選ぶようにしましょう。材質については、錆びにくくて日頃の手入れがしやすいステンレスがポピュラーです。
3.コールドテーブル
コールドテーブルというのは、下が冷蔵庫になっている作業台です。調理した料理の盛り付けを行う際、作業台と冷蔵庫を兼ねた省スペースになります。厨房が小さい場合にはとても便利な厨房機器です。色々と作業を行うには、高さもこだわりたいポイントになりますよね。
基本的に800㎜ですが、別売りで高さ調節ができます。横幅は600㎜、1200㎜、1500㎜が一般的なサイズで、その中でもポピュラーなのは1200㎜です。奥行きに関しては、450㎜と600㎜がよく使用されるサイズになります。
自分が日頃どの程度の食材量を出し入れするのか、そこを考慮した上で選ぶのがおすすめです。
4.食器棚
食品営業基準では、衛生管理上の決まりによって、扉付き食器棚が1台以上必要になります。基準を満たし、食器棚を選ぶ際には、衛生的に食器保管できるか否かがポイントです。
省スペースになるので、吊戸棚を利用する方が多いですが、天井と棚に隙間がある、目線よりも高い、このような状態はNGになります。
扉付きでない食器棚に関しては、一時保管用に認められていますが設置基準があります。材質はステンレス製や樹脂製など、掃除がしやすいものが使用されています。
5.冷凍・冷蔵庫
これは、冷凍庫と冷蔵庫が組み合わさったタイプの厨房機器です。サイズ、バランス、扉の数など、一言に冷凍・冷蔵庫といってもバリエーションが色々とあります。確認したい大事なポイントは、冷凍庫と冷蔵庫のバランスです。
食材をいつもストックしておくので、食材量を考慮した上で、サイズを決めるようにしましょう。また、サイズと容量はもちろん、扉の大きさや数も要チェックポイントです。
たとえば、厨房内の導線が狭い場合には、扉の開閉が上手くできないこともあるので、レイアウトに適したタイプを選ぶことが大切です。
6.製氷機
製氷機には、さまざまなタイプがあります。
設置スペースと製氷能力を考慮した上で、適切な厨房機器を選びましょう。飲食店で使用される製氷能力の目安に関しては席数×約1.9㎏です。そのため、20席の飲食店の場合であれば、製氷能力は40㎏以上が最適です。
7.ガステーブル・ガスレンジ
ガスコンロが内蔵されている厨房機器がガステーブル、コンベクションオーブンとガステーブルが一体化している厨房機器がガスレンジです。
これらの厨房機器は、どちらも外管式と内管式の2タイプがあります。外管式に関しては、ノズル付のガス栓を空けて点火し、火加減の微調整を行えます。一方、内管式に関しては、圧電点火式でつまみを回し自動点火します。
ガステーブル・ガスレンジを選ぶ際には、ガス種(ガスの分類のこと)に合っており、安全装置付の物がおすすめです。
厨房機器の買い替えのタイミング
本章では、厨房機器の買い替えのタイミングをいくつか紹介します。
- 耐用年数はあくまでも目安
- 故障や寿命のタイミング
- 事業内容の変更や拡大のタイミング
- 厨房機器をアップデートしたいタイミング
本記事で紹介する以外にも、買い替えのタイミングは多数存在します。結局のところ、ベストタイミングは人それぞれです。
しかし、考え方や買い替え時の注意点などは共通するので、ぜひ参考にしてください。
耐用年数はあくまでも目安
厨房機器にも基本的に、耐用年数というものがあります。厨房機器にも基本的に、耐用年数というものがあります。
業務用冷蔵庫をはじめ、一般飲食店の厨房機器は、耐用年数はおよそ6年が目安です。しかし、「耐用年数=寿命」ではなく経済的価値の寿命であり、機器自体が壊れる寿命ではありません。
飲食店で耐用年数が6年経過したからといって、全て厨房機器を交換する訳ではありません。
国税庁公表の業務用厨房機器耐用年数は、およそ8年となっています。あくまでも、税制上の耐用年数なので、それを過ぎたからといって違反になることはありません。
ですが、買い替えを行うために、現在使用している厨房機器を売却する際には、製造年月日が古過ぎると買取してもらえないこともあります。たとえば、厨房機器の製造年が10年前の場合、問題なく厨房機器を使用できても、買取できない場合があります。
つまり、厨房機器の耐用年数である6年で買い替え検討をした方が良いといえるでしょう。現在、使用している厨房機器を売却して、その売却したお金を新たな厨房機器購入資金に回すのが良い選択です。
故障や寿命のタイミング
厨房機器の経年劣化や寿命での故障は、できるだけ避けたいものですよね。故障したら修理に出すことも選択肢の一つですが、古い厨房機器の場合は、メーカーであっても部品が揃わないことがあります。
部品が無いと結果的に修理できないので、買い替えが必要になります。厨房機器メーカーは、基本的に部品の取り置き期間が決まっているため、あらかじめ確認しておくことが大切です。
また、厨房機器の故障や寿命による不具合に気付かないこともあるので、耐用年数を頭に入れておきながら、厨房機器の状態を見るようにしましょう。
たとえば、冷蔵庫の効きが悪くなっていたことに気付かない、水漏れしていたことに気付かない、このようなことが挙げられます。厨房機器の電源が入らない、などの目立つ故障は気付きますが、少しの不具合にはなかなか気付けないものです。
不具合が生じていることに全く気付かずに、そのままの状態で厨房機器を放置してしまっていると、ある日突然、厨房機器が使用できなくなってしまう状況も起こりえます。
厨房機器が故障してしまうと、飲食店の営業に支障をきたしてしまいます。そうならないためにも、日頃から厨房機器の不具合に気を配り、買い替えのタイミングを逃さないことが大事なポイントです。
事業内容の変更や拡大のタイミング
厨房機器を買い替える最適なタイミングとしては、事業拡大や事業内容を変更する場合がよく挙げられます。まずは、事業拡大を行う際に厨房機器を新たに買い替えることを検討してみましょう。
たとえば、事業拡大によって別エリアに新店舗を構える場合、今までよりも更に効率良く事業展開を行っていくために、従来使用していた厨房機器よりも良質な厨房機器を必要とする場合もありますよね。
新店舗で、今までよりもメニューを充実させようとした場合、それに見合った厨房機器を用意する必要が出てきます。
次は、事業内容の変更による厨房機器の買い替えです。たとえば、同じ飲食店でも業態の異なることを始めようとするのであれば、それが厨房機器を買い替えるタイミングになってきます。
具体的な例を挙げると、今までカフェで軽食中心だったものを、今後は多くの料理を提供するお店に変更する。そのような場合は、厨房機器の買い替えのタイミングです。
こうした事業内容の変更では、今までよりも容量の大きい冷蔵庫や製氷機を揃えたり、ガスコンロも大きくしたり、これまで使用してきた厨房機器では対応することができない場合もあります。
厨房機器をアップデートしたいタイミング
厨房機器の買い替えを検討する際は、最新の機能が搭載されたものにアップデートしたいと感じたタイミングもおすすめです。
厨房機器は、技術の進歩により年々性能が向上しており、最新の設備を導入すれば作業効率やエネルギー効率が大幅に改善される場合があります。
しかし、設備の最新情報は専門家でなければ、なかなか把握が難しいかもしれません。そのため、厨房機器の展示会や詳しい知り合いに話を聞くなどして、情報を仕入れるところから始めましょう。
ただし、最新機器の導入には大きなコストがともないます。そのため、スタッフの意見や日々の業務における課題を考慮しつつ、最適な時期に設備を見直すことが成功の鍵です。
タイミングはそれぞれ
厨房機器の買い替えのタイミングは、個々によってそれぞれです。
厨房機器を買い替えるとなると、それなりに費用がかかってきますが、厨房機器は適切なタイミングで定期的に買い替えることがおすすめです。
厨房機器を高く売却できるタイミングで新たに買い替えることができれば、買い替えを行う際のコストも抑えられます。また、厨房機器というのは基本的に、長年使用していれば消費電力が大きくなります。
たとえば、飲食店などでは電気代のコストがかかってくるので、経費削減のためにも定期的な厨房機器の新調は大切です。
厨房機器の減価償却とは?
次に、厨房機器の減価償却について、さまざまな視点から詳しく見ていきましょう。
- 減価償却とは
- 減価償却のメリット
- 減価償却の計算方法
今後、飲食店を経営するうえで、減価償却について詳しくなっておいて損はありません。知識があまりない方は、ぜひこの機会に減価償却の仕組みやメリットを学んでおきましょう。
1.減価償却とは
減価償却は、経年劣化を伴う高価な資産を取得した際に、その資産を長期使用する場合、取得する際にかかった費用を資産の耐用年数に応じて、少しずつ計上していく仕組みです。
この仕組みがあることによって、事業用に高価な資産を購入した場合でも、それにかかった費用を一括で経費に計上できません。
経年劣化を伴う資産が対象となる
減価償却の対象に該当する物は、経年劣化を伴う高額な資産になります。たとえば、飲食店で使用されている厨房機器や調理器具などは、減価償却の対象です。
減価償却というのは、経理上の問題を生じさせないための仕組みです。会計上では、有形固定資産・無形固定資産に扱われる減価償却の資産というのは、形のある物の場合は有形固定資産、形がない物の場合は無形固定資産として扱われます。
前者に該当するのは、飲食店を例に挙げると調理器具、厨房機器、冷蔵庫、冷暖房設備、野立て看板などが挙げられ、後者に該当するのは、お店で使用するPCソフトウェアが挙げられます。
減価償却の対象となる資産と耐用年数
減価償却の対象となる資産は、品目ごとに法定耐用年数が決まっています。
国税庁がそれぞれの資産ごとに見込んだ設定基準です。基本的に耐用年数というのは、客観的判断がしにくいものなので、減価償却する際には基準に従った費用計上が行われています。
減価償却の対象に該当しない資産
購入金額が高くても、経年劣化と考えられる物以外は、減価償却せずにお店の資産として計上する、あるいは売却する、このどちらかで処理を行います。たとえば、土地の借地権、絵画、古物品などです。
耐用年数を間違えた場合
資産の耐用年数を誤って計上した場合は、個人と法人で対応が変わってきます。
まず、個人の場合は、過去の償却費の訂正が行われます。たとえば、資産が中古品の場合は請求できないので、次回、耐用年数を間違えないように計上してください。一方、法人の場合は、過去の償却費の訂正は行わず、次年度から正しい耐用年数を計上します。
2.減価償却のメリット
資産評価に使用できる
減価償却は、保有資産の評価にも使用できます。たとえば、一年が経過すれば、新品では無く汚れや傷みも出てくるものです。その時点で、購入時と同じ資産価値を有してはいませんよね。
このような場合、現時点での具体的な資産価値というのは、元の金額から減価償却した分の費用を引けば算出可能です。
キャッシュフローでプラスになる
減価償却費というのは、実際の現金支払いを伴わない費用を指します。
損益計算書上では費用計上されていますが、キャッシュフロー計算書になるとプラスに働きます。具体的にいうと、厨房機器で80万円の売り上げがある場合、減価償却費用で計上した金額が20万円だとすると、80万円から20万円を引き、利益は60万円になります。
ですが、実際その金額は支払っていないので、80万円に20万をプラスした額が手元に残ります。
3.減価償却の計算方法
定率法について
定率法は、償却費が年々減少する方法です。
定率法は、収益が低下している後年の負担額を抑えられます。法人の場合であれば、このやり方での計算になります。
定額法について
定額法は、資産の購入金額に定額法の償却率を掛ける方法になります。
たとえば、資産を100万円で購入して耐用年数が5年の場合、100万円に0.2を掛け、毎年20万円を計上します。個人経営の場合であれば、こちらの方法を使いましょう。また、無形固定資産は、定額法でのみ計上可能です。
法人の減価償却の計算方法
法人の場合であれば、資産の償却率を把握できます。
計算方法は、「未償却残高×償却率」と「取得価格×定率法の保証率」です。前者と後者を比較し、前者が多い場合にはそちらで計上し、後者が多い場合には「改定取得価格×改定償却率」で算出された金額を計上しましょう。
個人事業主の減価償却の計算方法
個人の場合も、資産の償却率を把握できます。償却率を資産の購入金額に掛けて算出しましょう。
また、取得価格が10万円~20万円以下の資産の場合、耐用年数に関係なく、一括で償却処理することも可能です。
厨房機器を購入するメリット・デメリット
厨房機器を購入するメリットは、主に以下の通りです。
- 自分の店舗に最適な設備を選べる
- 長期間使用する場合にはコストパフォーマンスが高くなる
必要な機能やデザインを重視し、長期的に使用できる高品質な機器を選ぶことで、お店に合う調理環境を整えられるでしょう。また、リースやレンタルに比べて、長期間使用する場合は、結果的にお得になります。
一方、厨房機器を購入するデメリットは、主に以下の通りです。
- 初期費用が高額になる
- 購入した器具は自分でメンテナンスや修理を手配する必要がある
新規開業時には、他の設備や内装費用も重なるため、資金繰りに余裕がないと、一から厨房機器を買って揃えるのは大きな負担になります。また、故障時には修理に時間がかかるため、業務に支障をきたすリスクもあります。
メリットとデメリットを把握しながら、厨房機器を購入するかどうか、店舗の運営スタイルや予算、将来の展望に基づいて慎重に判断しましょう。
厨房機器をリースするメリット・デメリット
厨房機器をリースするメリットは、主に以下の通りです。
- 初期費用を抑えられる
- リース期間中のメンテナンスや修理が含まれている場合が多く、故障時にも迅速な対応が可能
リースを活用すれば、開業時に高額な機器を購入する必要がなく、資金負担を軽減できます。また、修理が必要になった場合は、代わりの機器を迅速に手配してくれるでしょう。
一方で、リースのデメリットは、長期的に見た場合のコストが購入よりも高くなることが挙げられます。リース料を長期間支払うことで、最終的には購入価格を超える費用がかかる可能性があります。
リースを選ぶかどうかは、事業計画や資金状況を考慮して判断してください。
厨房機器の耐用年数を把握して適切に買い替え
本記事では、厨房機器の具体的な耐用年数や買い替えのタイミング、減価償却について詳しく解説しました。
耐用年数と耐久年数の違いなど、知識として知っておくと適切な判断がしやすくなります。ぜひ、飲食店を経営している方は、本記事を参考にしてくださいね。
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