焼肉屋の開業のための8つの準備

焼肉業界はBSE問題などのニュースもあり、一時期は停滞したイメージがあります。それでも焼肉は、年齢や性別を問わずに好まれる食材で、いつでも一定の市場が存在しており、参入しやすい業種とも言えます。

焼肉屋は市場が大きいために競合も多く、生き残っていくためには開業前の準備が非常に重要になります。焼肉屋を開業するための8つの準備についてご説明しますので、ぜひ参考にしてください。

準備1:焼肉屋の開業に必要な資金

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カフェ、居酒屋、バー、ラーメン屋など飲食店は多数ありますが、その中でも焼肉屋の開業資金は非常に高い部類に入ります。焼肉屋を開業する前に、資金を準備できるかも考えなければなりません。

開業に向けて資金を投入したものの、途中で資金が枯渇するようなことになれば、貴重な資金を失ったあげく何も残らなくなってしまいます。

まず、焼肉屋を開業するために必要な資金についてご説明します。大きく分けると焼肉屋を開業するためにかかる主な資金は、店舗の契約、内外装の工事、厨房機器や設備、広告費や人件費となります。

開業準備

店舗の契約にかかる費用として主なものは、店舗の家賃と保証金です。これらは借りる店舗の場所や広さによって大きく変わってきますが、基本的には坪単価で考えることができます。

たとえば1坪あたり2万円の場所であれば、通常の焼肉屋の広さで40坪とすると家賃だけで80万円、保証金が10ヶ月分とすると800万円となります。もちろん場所によって坪単価が変わるため、これより安くなる可能性もあります。

そして借りる物件に内外装の工事が必要な場合、さらに費用は高額になります。完全に一から内外装の工事を行う場合、一般的には坪単価40万円と言われており、先ほどの40坪の店舗の場合は1,600万円となります。

資金の内容目安の金額
店舗の家賃1坪2万円×40坪=家賃80万円
店舗の保証金家賃×10ヶ月分=保証金800万円
店舗の工事費坪単価40万円×40坪=1,600万円

これに加えて焼肉屋の広告費として10万円ほど、毎月の人件費として数十万円を計算しておく必要があります。さらに焼肉屋を開業するには、これに加えて厨房機器や設備の費用もかかり、これもまた高額になります。

全ての費用を合わせると、焼肉屋を開業するには1,500万円から3,000万円は必要になるでしょう。

準備2:どのような焼肉屋にするか?

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競合の多い焼肉業界で生き残っていくためには、焼肉屋のイメージがとても重要になります。焼肉屋のイメージを決めるのはメニューと言っても過言ではないため、どのようなメニューを出すのか検討しなければなりません。

そのためにも、周辺にある競合の焼肉屋の調査は絶対に欠かせません。競合店を調査する分野は、大きく分けて5点あります。

1つ目は、どのような焼肉屋が繁盛しているのかです。周辺にある焼肉屋の中で繁盛しているお店があれば、その店舗で実際に焼肉を食べてみて、繁盛の理由を探るようにします。

2つ目は、焼肉屋の内外装の雰囲気です。お客様を迎える玄関から店内に入った後に見える店内の様子、スタッフによる接客はどうなっているかなどに目を配ります。

3つ目は、焼肉屋のメニューの豊富さや、その店のオリジナルメニューの有無です。焼肉屋の生き残りのポイントには独自メニューも含まれるため、独自メニューが重ならないように競合店のメニューを調査しましょう。

4つ目は、平日や休日のお客様の流れをチェックします。平日であれば、どの時間帯、どの曜日にお客様が集まっているのか、週末の客の入り具合などをチェックしますので、お店の周辺には何度も通う必要があります。

5つ目は、競合店の衛生環境や内装の状態です。焼肉屋は内装を清潔に保つことが難しいですが、衛生的でないお店はいずれ潰れることになりますから、衛生面のレベルもチェックしましょう。

競合店を調査する内容

こうした競合店の調査を行うことで初めて、自分のお店のオリジナルメニューを決定することができ、店舗全体のイメージを固めることができます。

準備3:成功するために考えること

焼肉屋に限らず、新しく事業を始める時には事業計画書を作成します。この事業計画書には開業目的、開業資金、運転資金、売上予測、収益予測などの情報を書き込む必要があります。

これらの情報は非常に重要で、どれくらい現実的な数字を出せるかによって成功が決まると言っても良いでしょう。売上予測を出すには、営業時間、客数、客単価、座席数、回転数を想定しなければなりません。

新しく事業を始める時には事業計画書えを作成する

たとえば営業時間が昼11時から14時、夜17時から24時まで、平日昼の客単価1,000円、平日夜の客単価3,600円、平日昼の客数50人、平日夜の客数65人、休日昼の客単価1,200円、休日夜の客単価4,000円、休日昼の客数60人、休日夜の客数80人、座席数30席という形です。

この数字が出ると自動的に、平日1日の売上、休日1日の売上が出るようになり、日商と年商の予測を出すことができます。

項目/時間帯平日昼平日夜休日昼休日夜
営業時間11時から14時17時から24時11時から14時17時から24時
客数50人65人60人80人
客単価1,000円3,600円1,200円4,000円
座席数30席30席30席30席
小計50,000円234,000円72,000円320,000円

売上予測と同じくらい重要になるのは、コスト削減です。特に焼肉屋の開業資金は高額になるケースが多いので、コストを削減できるところはしっかりと節約しておく必要があるでしょう。

焼肉屋のコスト削減は、食材の仕入れ費用を削減するのではなく、内装や設備で削減する方が良いです。物件を探す際は、以前に飲食店が入っていた居抜き物件を探せば、内装工事の費用を節約できます。

また設備に関しても、中古の厨房機器などを購入すればかなり費用を節約できます。

準備4:開業資金や運転資金の調達

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飲食店を個人で開業する方の多くは、銀行ではなく日本政策金融公庫で融資を受けています。個人が事業を始める時に、銀行はほとんど相手にしてくれませんので、日本政策金融公庫の融資を検討しましょう。

しかし自己資金0円で融資をお願いしても、融資の審査に通りませんので、ある程度は自己資金を用意しなければなりません。焼肉屋を開業する場合、少なくとも1,500万円は開業資金が必要になります。

具体的な例を挙げると、自己資金400万円の方が日本政策金融公庫から1,000万円の融資を受けることができた例があります。その他には自己資金500万円の方は、日本政策金融公庫から1,500万円を借りることができました。

こうした例から考えると、日本政策金融公庫から借りられる限度額は、自己資金の2倍から3倍までと見当をつけることができます。

調達の方法事例1事例2
自己資金400万円500万円
日本政策金融公庫1,000万円1,500万円
開業資金の合計1,400万円2,000万円

それ以外にも役所で融資を受けることも可能で、創業支援資金融資という制度があります。創業支援資金融資で借りられる金額は必要資金の3分の2以内、返済期間は基本的に数年ですが、各自治体で異なる場合もあります。

ですから一度役所を訪問し、融資に関して相談してみることをおすすめします。ただし役所の融資の審査には3ヶ月ほど時間がかかるため、創業支援資金融資を検討している場合は早めに動くようにしましょう。

準備5:必要な資格や申請手続き

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資格や申請手続きで最初に行なうべきことは、食品衛生責任者の資格を取得することです。食品衛生責任者の資格は1日で取得が可能であり、費用も10,000円ほどしかかかりません。

基本的に食品衛生責任者の資格を持っている人がお店に1人いれば大丈夫ですが、取得は簡単なのでオーナー自身で取得しておきましょう。講習日時については食品衛生協会のホームページで調べられます。

食品衛生責任者を取得したら、保健所に営業許可を申請しなければなりません。最初に店舗の完成図面を持って保健所に行き、基準に適合しているかを確認してもらいます。

保健所の職員の方に問題なしと言われたら、保健所に営業許可の申請書を提出し、およそ2週間後に保健所の担当者が検査に入ることになります。この検査に問題がなければ、正式に営業許可証が発行されます。

営業許可の申請の流れ

営業許可を取得した後に行うことは、深夜酒類提供飲食店開始届を警察署に提出します。深夜酒類提供飲食店開始届は、営業時間が深夜0時を超える場合に提出が必要になります。

焼肉屋はバーや居酒屋とは違い、お酒をメインで提供するわけではありませんが、行政の判断としては焼肉がお酒のつまみにあたるため、営業が深夜0時を超える場合は、警察署に届出を提出しなければならないのです。

そして焼肉屋は広いスペースで営業することが多いため、店舗の収容人数が30人以上になることが大半です。店舗の収容人数が30人以上の場合、防火管理者の資格が必要になるため、講習場所などの情報を役所にたずねましょう。

防火管理者の講習は1日で終わりますし、取得が難しい資格ではありませんので、食品衛生責任者と一緒に取得して、きちんと防火管理者選出届を消防署に提出しておきましょう。

資格・申請内容
食品衛生責任者1日の講習を受けて取得、費用は約10,000円
営業許可保健所に相談後、流れに沿って申請
深夜酒類提供飲食店開始届警察署に提出(営業が深夜0時を超える場合)
防火管理者1日の講習を受けて取得(収容人数が30人以上の場合)

最後に焼肉屋を個人で開業する場合は、税務署に個人事業の開廃業等届出を提出しなければなりません。その他には税務署、社会保険事務所、労働基準監督署、ハローワークに行き、必要な申請についてたずねてみましょう。

準備6:焼肉屋の設備工事と費用

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焼肉屋は通常の飲食店とは異なり、お客様が自分で肉を焼ため、そのための設備が必要となります。

無煙ロースターを各テーブルに設置すると、相場で1台あたり20万円以上かかります。さらに吸煙システムも各テーブルに必要になるため、ダクト工事を行わなければならず、1台あたり10万円ほどの費用がかかります。

さらに各テーブルは、ロースターを置ける専用のテーブルでなければなりません。

各テーブルごとの工事に加えて、焼肉屋全体の給排気工事や排煙工事などの臭い対策も必要です。こうした工事費用にも200万円から300万円はかかりますので、内装、設備などを全て一から作ると相当な費用になります。

内容費用の目安
各テーブルの無煙ロースター1台あたり20万円以上
各テーブルのダクト工事1台あたり10万円ほど
全体の給排気工事や排煙工事200万円から300万円

さらに厨房機器は、業務用の冷凍冷蔵庫、フライヤー、ガステーブル、調理台、シンク、業務用の食洗機、ゆで麺機が最低限必要です。このような大量の設備が必要なため、以前が飲食店の居抜き物件を探して開業する方が良いでしょう。

準備7:メニュー開発と仕入れの準備

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焼肉屋は競合が多いため、独自のメニューや商品を提供できるかどうかが重要になります。お店独自の熟成方法、独自ルートのA5ランクの国産牛、特製ダレ、厚切り肉など、お店独自の特徴を出しましょう。

ビビンバ、キムチ、冷麺、野菜などのサイドメニューについても、美味しいものを準備しなければなりません。肉の質やメニューで妥協するようでは、焼肉屋を経営して成功することはできません。

メニュー開発と仕入れの準備

焼肉業界は大手チェーン店の安い焼肉屋と、美味しい焼肉を食べられる地元の店という二極化の傾向が強くなっています。そのため少し高くても肉の質にこだわる仕入れが必要で、良い肉の見分け方なども重要になります。

食肉センターへ通って施設を見学させてもらう、牧場の見学に行く、食肉について学習するなど、どんどん行動していきましょう。こうした中で良い肉を仕入れるルートを見つけることもできるので、努力を惜しんではなりません。

準備8:スタッフ教育と宣伝方法

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お店が完成する前から、前もってスタッフの募集を行なっておかなければなりません。少なくとも、オープンの1ヶ月以上前から、アルバイトの求人を出しておく必要があるでしょう。

同時に焼肉屋のホームページも作成し、オープン前から独自メニュー、おすすめメニュー、求人情報を知らせておきます。ギリギリになってから求人を行うと、オープンに間に合わないだけでなく、スタッフの教育も行えません。

可能であればスタッフのうち1~2名は、飲食店で働いた経験がある方を採用すると良いでしょう。必ず業務に関するマニュアルを作り、そのマニュアルに従って、飲食店経験者をバイトリーダーにしてスタッフの教育を行います。

最低限マニュアルに従ってお客様を迎えられるレベルにしておかないと、お客様とトラブルになります。またマニュアルがしっかりしていないと、オーナーへの質問が多くなり、余計な時間を取られるようになってしまいます。

さらに焼肉屋は生肉を扱い、火を扱うことになるため、調理や衛生面のマニュアルについては徹底しておかなければなりません。

マニュアルを作成する

オープン時の宣伝方法としては、B2サイズで店頭ポスターを準備し、オープン前から店舗の窓や壁などの目立つ場所に貼っておきます。またオープン後は、駅前などにもポスターを貼らせてもらえるように交渉しましょう。

新聞 フリーペーパー DMのポスティング

もし可能であれば、店舗が入っているビルや建物に垂れ幕を設置させてもらうのも良い方法です。その他には店舗の名刺を人通りの多い場所で配る、広告と割引券をセットにして配る、スタンプカードを作るなどの工夫も必要です。

周辺地域の状況によっては、ポスティングという方法も効果的でしょう。

まとめ

このように焼肉屋を始めるには、非常に多くの準備が必要になることをご理解いただけたと思います。焼肉屋は開業資金が多く必要になるだけでなく、競合店も多いため、独自性の高いメニューが必要になります。

そして焼肉屋は生肉を扱うため、衛生面の正しい指導や火気類の扱い方についても、マニュアルに基づいた教育を徹底する必要があります。こうした特徴があるため、焼肉屋で成功するのはそう簡単ではありません。

しかし焼肉屋の開業には非常に大きな夢がありますから、早い段階から準備をスタートして、理想とする焼肉屋をオープンできるようにしましょう。

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