パン屋の開業のための6つの準備

将来の夢として、パン屋さんを挙げる子供はたくさんいます。他にも魅力的な仕事はたくさんありますが、それでもパン屋の人気は高く、小学校卒業までパン屋になる夢はランキングのトップ3に入っています。

子供たちにとって魅力的に映るパン屋さんですが、いざ本当に開業しようと思うと、行わなければならない準備がたくさんあります。そして経営を続けていくことは、開業するよりもずっと難しいものです。

今回は、パン屋の開業のための6つの準備についてご説明します。

準備1:パン屋にはライバルが多い

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パン屋を開業しようとすると、多くの方は競合店が非常に多いことに気付くようです。同業種のパン屋はもちろんライバルになりますが、それだけではなく、スーパーの中のパン屋、さらにはコンビニのパンコーナーもライバルになります。

このようにライバルが多いため、すでに開業しているパン屋の多くは、他との差別化をはかることで生き残っています。ですからパン屋を開業するなら、競合店の特色をしっかり調査し、自分のパン屋の違いを出さなければいけません。

まず出店を考えている地域のパン屋には、どのようなパン屋が多いのかをチェックしなければなりません。小さなパン屋が多いのか、それとも比較的敷地の広い大きなパン屋が多いのかを調べます。

さらにそれぞれのパン屋の開店時間と閉店時間、パンの焼き上がりの時間、パンの種類や数、一押しのパン、地域の評価や口コミ、来店している客層といった情報が必須となります。

加えて調査が必要になる点は、競合店の立地条件です。パン屋の開業で重要になるのが、人通りの多い場所にあるのかどうかということです。

立地の面で競合店を超えられない場合、同じ地域で開業することは、スタートの段階から集客の面では不利ということになります。もっと良い立地がないのか探すためにも、他のパン屋の周辺も調べましょう。

調べる内容

そして忘れてはいけないライバルには、コンビニやスーパーの中にあるパン屋もあります。

特にスーパーの中にあるパン屋は、パンの価格を抑えているところも多いので、パンの種類や価格をきちんと調べておきましょう。コンビニについては、商品の種類よりもどこにあるのかを把握することが重要です。

準備2:パン屋のコンセプトを決める

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先ほどからお話しているように、パン屋は非常にライバルの多い飲食店です。ですから、他のパン屋との違いをはっきりと示す必要があり、パン屋のコンセプトが重要になります。

たとえば、自分が普段からパン屋に対して感じている不満を洗い出し、そこをカバーしているようなパン屋を出店すれば、他店との差別化を図ることにもつながるでしょう。

つまり自分がどのようなパン屋を目指しているのか、明確にしなければなりません。この部分がブレてしまうと、その後のすべての計画や準備が定まらなくなり、結局他のパン屋と似たような店舗になってしまいます。

いろいろなパンを味わってもらうためにパンの種類を多くするのか、家族層をターゲットにして子供うけするかわいいパンを販売するのか、若者を呼ぶためにボリュームのある惣菜パンを増やすのか。

ターゲットパンの種類
一般客種類をたくさん用意する
家族層子供うけするかわいいパン
若者ボリュームのある惣菜パン

このようなことから考えて、自分なりのパン屋のコンセプトを決める必要があります。他のパン屋では行っていないようなサービスや、販売していないパンの製作を検討することもできます。

たとえば、パン屋に併設したテラスで購入したパンを食べられるようにしたり、その際にコーヒーや紅茶をサービスすることも検討できるでしょう。こうしたアイデアは、他店との差別化を図る武器にもなります。

なぜパン屋を出店したいと思ったのか、おすすめの商品とセールスポイントなど、事業計画書にきちんとまとめておく必要があります。事業計画書に記入すべき内容は、大まかに以下の通りです。

事業計画書に記入すべき内容

こうした内容を事業計画書に記載していかなければなりません。

準備3:開業する場所と店舗デザイン

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パン屋の売り上げにもっとも直結するのは、どこで開業するのかという立地です。

パンの単価はそれほど高くないので、売り上げを確保するためには来客数がポイントになります。1日にどれくらいの人数が来てくれるのかを考えて、開業をする場所を決める必要があります。

その判断は、都市部、都市近郊、郊外といった場所によって異なるため、まず出店予定の土地を判断しなければなりません。

都市部はオフィスや集合マンションが多くなり、500m圏内に他のパン屋があれば競合状態。都市近郊は、1km圏内に他店舗があればその地域のお客を取り合う状態。郊外は、約2km圏内に他店舗があれば競合状態となります。

場所競合状態
都市部500m圏内に他のパン屋あり
都市近郊1km圏内に他のパン屋あり
郊外2km圏内に他のパン屋あり

説明した範囲内に他のパン屋がない場所で開業するなら、一定の消費者を確保できるようになり、経営上は有利に働きます。しかし通常は、こうした範囲内には他のパン屋が数件あり、必然的に競合状態になります。

とはいえ、すべてのパン屋がライバルというわけではなく、自分の店のコンセプトに似ている店がライバルとなります。こうした情報は不動産屋で聞くこともできるので、物件を探す時に不動産屋に聞いてみましょう。

都市部であれば駅から近い場所、郊外であれば駐車場を完備している場所でないと消費者が不便に感じ、リピーターを確保できないので避ける方が良いでしょう。

出店場所が決まったら、どのようなパン屋にするかを考えます。自分が理想とするパン屋を実現するだけでなく、内外装のデザインにこだわることで、他のパン屋との差別化を図ることもできるでしょう。

主にパン屋を利用するのは20代から40代の女性であり、この年代の女性はオシャレかどうかに注目しています。4つのポイントを意識することで、若い女性が喜ぶ内装を演出することができます。

4つのポイント

このようなことを意識して、自分の理想とするパン屋のイメージとすり合わせていきましょう。

準備4:開業に必要な資格と申請書類

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パン屋を含め、飲食店を開業するために絶対に必要な資格は、食品衛生責任者です。調理師、栄養士、製菓衛生士の資格を持っている場合は、申請すれば食品衛生責任者の資格を取得できます。

その他の方は、食品衛生協会の開いている食品衛生責任者の養成講習会に参加することで資格を取得できます。

地域によって月に何回講習を開催しているのかが異なりますので、各都道府県にある食品衛生協会で聞いてみましょう。この資格はオーナーが取得していなくても、従業員の中の1人が取得していれば問題ありません。

そしてパン屋を開業するためには、消防署で防火責任者講習を受けて、防火責任者の資格を取得する必要もあります。この資格も講習を受ければ取得が可能になるため、早目に消防所に講習の申込をしておきましょう。

必要な資格取得

他に役所や保健所への申請には、どのようなものがあるかをご説明します。

店舗の工事が始まる前に、完成図面を持って保健所に行き、許可が通るかどうかを確認します。工事が終了する10日ほど前に、保健所に営業許可申請書を提出すると、保健所の担当者が店舗に来て検査を行います。

検査の際に問題がなければ営業許可証が発行され、はれてパン屋の営業ができるようになります。パン屋でジャムなどを販売するためには、営業許可証に加えて菓子製造許可も申請しなければなりません。

さらにビルなどでパン屋を開業する場合は、貯水槽を使うため水質検査成績書が必要になるので、不動産屋との契約時に準備してもらうようにしましょう。

営業許可証発行の流れ

このような細かい申請内容については、各自治体によって異なるため、開業したい地域を管轄する保健所に事前に確認するようにしましょう。

準備5:開業資金や運営資金の調達

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パン屋を開業するためには、いくらくらいの費用がかかるのだろうと疑問に感じる方も多いはずです。あくまでも平均的な相場になりますが、パン屋を開業するための費用をご紹介します。

最初に必要になる費用は、パン屋の物件にかかる費用です。

通常の居住用の賃貸より、店舗物件の契約には費用がかかります。通常は保証金、敷金、礼金として、家賃の10か月分くらいが最初に必要となります。パン屋には大きめの製造スペースが必要なため、広さは20坪くらいは必要です。

物件契約が完了すると、続いて内外装の工事費用が必要になります。

物件によって大きく変わりますが、パン屋には電気・ガス・水道・給排気など、設備工事費用が多くかかるため、坪単価40万円は想定しておいた方が良いでしょう。

資金の内容目安の金額
店舗の家賃1坪2万円×20坪=家賃40万円
店舗の保証金家賃×10ヶ月分=保証金400万円
店舗の工事費坪単価40万円×20坪=800万円

内外装の費用を抑えたい場合は、居抜き物件を選ぶという選択肢もあります。居抜き物件とは、以前の使用者が厨房機器や設備をそのまま残して出ていった物件であるため、工事費用をかなり節約できます。

さらにパン屋では、多くの厨房機器を購入する必要があります。パンを焼くオーブン、業務用冷蔵庫、ミキサー、発酵させるための機械、カレーパンなど揚げ物のためのフライヤーなど、すべて揃えると数百万円かかります。

最初の数か月は収入が少なくても経営していけるように、数百万円の余裕資金も準備しておくと安心です。すべての費用を合計すると、パン屋を開業するため、おおよそ2,000万円ほどの資金が必要であることが分かります。

準備6:パン屋の生命線となる集客

今は多くの方が、インターネットでパン屋について調べるようになっています。ですから最低限、自分のパン屋のホームページは準備するようにしましょう。

しかし店の情報しか載っていない、見た人の役に立たないホームページでは不十分です。今の時代は、ホームページに店の情報を載せるだけでなく、見た人が役に立つ情報をホームページに掲載する必要があります。

店の場所や電話番号、おすすめの情報に加えて、店の雰囲気が分かる写真、一押しのサービス、そしてパンの情報が満載のホームページを用意して、余すところなく魅力を伝えましょう。

お店の魅力を伝える

開店前からこうした充実したホームページを準備しておくと、開店までの工事中、お客様に開店を期待してもらえます。工事中の壁面などに、店のホームページのURLを掲載しておくと良いでしょう。

開店後も店のSNSやブログを更新し続けることで、自分のパン屋が検索されやすくなっていきます。こうしたブログなどで、今週のおすすめパン、今月のおすすめパンなどを伝えることもできます。

SNS

さらにパン屋の調理器具などの情報を載せることでも、自分のパン屋について知ってもらうことができます。

近所にチラシをポスティングする方法も効果があります。最近はかなり安い金額で、ポスティング用のチラシをプリントしてくれる会社もありますので、インターネットで探すこともできるでしょう。

新聞 フリーペーパー DMのポスティング

そして近年少しずつ増えているのは、ネットショップです。インターネットで注文を受け、指定された時間にパンを準備しておく方法です。これを行っているパン屋はまだ少ないため、他との差別化にもつながるでしょう。

集客方法ポイント
ホームページ店の雰囲気が分かる写真、一押しのサービス、パンの情報、見た人が役に立つ情報を掲載する。
SNSやブログ更新し続けると検索されやすくなる。今週のおすすめパン、今月のおすすめパンなども伝える。
ポスティングかなり安くポスティング用のチラシをプリントしてくれる会社もあるので、インターネットで探してみる。
ネットショップインターネットで注文を導入しているパン屋はまだ少ないため、他店との差別化にもつながる。

このように一口にパン屋の集客といっても、いろいろな方法がありますので、いろいろと試行錯誤しながら試してみましょう。

まとめ

パン屋を開業する時には、こうした6つの準備をしっかりと行っておくようにしましょう。

6つの準備

パン屋を開業するのも大変ですが、そのパン屋を維持して続けていくことはもっと大変です。少しでも順調にパン屋を開業し、経営をしていくためには6つの準備の1つでも欠けていてはいけません。

パン屋はライバルが多いですが、徹底した競合店の調査、ブレないコンセプト、集客の努力、ニーズを意識した店舗デザインなどを意識すれば、楽しくパン屋の経営を続けていくことができるでしょう。

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